2021AWEssence

2021/09/24

【シアーアイテム】日常の起爆剤になる“馴染みのない”ものを探しに

最近、意識的に“馴染みのない”場所へ行くようにしています。

この1年半は国をまたぐことができず、閉じ込められているような窮屈な気分になっていたから。いや、こんな状況じゃなくても、普段家の近所や仕事の打ち合わせ場所など、そんなに行動範囲って広くないのでは? と気づいてしまったから。私、東京23区中、だいたい3〜4区くらいで生きているじゃない!

「そりゃ見える景色が変わらないわけだ!」と、“馴染みのない”場所への旅(とはいえ近場ですが)をスタートしたのです。

ある日“馴染みのない”路線の電車に乗ったときのこと。電車が地上に出て窓の外を見ると、電車を吊っている電線が数本見えて。電車が走ることでその電線同士の幅が狭くなったり交わってまた離れたり。目的の駅へ到着するまで、飽きることなくずーっとそのさまを眺めていました。

またあるときは、シェアリングサービスを利用して“馴染みのない”交通手段・自転車で少し遠く(徒歩だと30分くらい)の大型スーパーへ。車道側から歩道側へ乗り入れるとき、段差でカゴのなかの荷物が浮いたり、外に飛び出そうになるのを手で押さえたり…。

何かを変えようとして“馴染みのない”場所へ行ったのに、子供のころ不思議に思って眺めていた風景や感覚を思い出していて。案外、ごくごく近くの目の前のことに夢中になっている自分に笑ってしまいました。

でも、「こんなことなら、いつもと同じ行動範囲でよかったじゃん!」という話ではなくて。“馴染みのない”場所へと足を向けたから、可笑しな自分に出会えた。頭がクリアになる、イイきっかけでした。

秋のファッションも同じだったりします。

まだ夏の名残りがあるこの時季。極端なことを言えば、長袖Tシャツがあればなんとかなります。そしてこの中途半端な季節を乗り越えれば、一気にニットにスイッチできる。

けれど、やっぱり“馴染みのない”素材は、「イイ!」と思うのです。

たとえば、このセットアップ。
一見ニットに見えるトップスは、ウール混ブラウスで、ハイネック&袖口部分だけがハイゲージのリブニット。

スカートは、たっぷり贅沢に分量をとった、アコーディオンプリーツのフレアシルエット。ほのかにブラウンみを帯びた落ち着いたチャコールグレーと、肌がうっすらと透ける上品なシアー感、シックな雰囲気と動くたびに服の表情がころころと変わるドラマティックさのバランスがとても新鮮で。着てみると「うわ〜〜」と心の声が漏れてしまいます。シアーシリーズでは、こちらのニットやカーディガンも。ポリエステル72%アルパカ28%の繊細な生地で、真冬の重たいニットとは別の軽やかさが格別です。

“馴染みのない”服は、「靴は何を履こう」とか「アイシャドウも変えてみようか」とか、ごくごく身近な世界で小さな変化を作るイイきっかけになるな〜と気づかされます。

変わらない毎日への起爆剤になってくれるモノ、自分の目で、肌で、探してみませんか?

ブラウス/¥29,700(税込)
スカート/¥49,500(税込)

ニット/¥26,400(税込)
カーディガン/¥34,100(税込)



【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。